1. 【結論】特定技能「宿泊」で認められる業務範囲

特定技能「宿泊」の在留資格では、以下の業務に幅広く従事させることが可能です。
- フロント業務: チェックイン・チェックアウト、予約受付、周辺観光案内。
- 接客・レセプション: ロビーでの案内、レストランでの配膳。
- 企画・広報: 宿泊プランの作成、SNSでの情報発信、インバウンド対応。
- 館内清掃・ベッドメイキング: 客室や共用部の清掃。
マルチタスクは「推奨」されている
宿泊業の特定技能は、現場の実態に合わせて「宿泊施設が提供するサービス(接客、企画、清掃など)」を横断的に行うことが前提となっています。そのため、「朝は朝食、昼は清掃、午後はフロント」というシフトは全く問題ありません。
2. 知らないと怖い「不法就労」の境界線

マルチタスクはOKですが、以下の2点だけは法的に厳しくチェックされます。
① 「付随する業務」だけをさせてはいけない
特定技能「宿泊」には、主となる業務(フロントや接客)以外の「付随する業務」も認められています。
- 付随業務の例: 売店での販売、館内備品の運搬、施設内の軽微な修繕。
- NG例: 「1日中、売店でのレジ打ちだけ」「1日中、厨房での調理だけ」
これらは「宿泊」の在留資格の範囲を超えていると判断され、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
② 外部の清掃会社への「派遣」は不可
自社のスタッフとして採用している場合、「自社のホテルの清掃」をするのはOKです。しかし、人手が余ったからといって「系列の別のホテルや、他社の清掃現場へ派遣する」ことは禁止されています(特定技能は直接雇用が原則です)。
3. 現場で「マルチタスク」を成功させる3ステップ

外国人スタッフにマルチタスクをお願いする際は、混乱を防ぐために以下のステップを踏みましょう。
ステップ1:「多能工(マルチタスク)」であることを入社前に伝える
「フロントだけだと思っていたのに、清掃もやるなんて……」というギャップを防ぎます。
ステップ2:セクションごとの「やさしいマニュアル」を用意する
清掃・配膳・フロント、それぞれの業務ごとに写真付きのチェックリストを作成します。
ステップ3:役割の「切り替え時間」を明確にする
「11時からは清掃モード、15時からはフロントモード」と、制服を着替えるなどの儀式を取り入れると、スタッフの意識が切り替わり、ミスが減ります。
4. 宿泊業の「特定技能」と「技能実習」の違い(業務面)

よく混同されますが、技能実習生は「習得すべき技能」が固定されているため、特定技能ほど柔軟なマルチタスクが難しい場合があります。
- 特定技能: フロントから清掃まで、ホテルの業務全般を柔軟にこなせる。
- 技能実習: 決められた職種(例:リネン交換・清掃など)が中心となり、業務の幅を広げるには手続きが必要。
現場の「使い勝手」を最優先するなら、特定技能の方が圧倒的に有利です。
5. まとめ:正しく使えば最強の「現場戦力」になる
特定技能「宿泊」のスタッフをマルチタスクで運用することは、人手不足を解消するだけでなく、スタッフ本人のスキルアップにも繋がり、定着率を高める効果があります。
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