「夜勤の担い手が足りない。外国人スタッフに任せても大丈夫だろうか?」
「深夜に外国人スタッフ1人でフロントを任せるのは、法的に、あるいは安全面で問題ないのか?」
宿泊業界において、夜勤スタッフの確保は最大の悩みの一つです。若くて体力のある特定技能などの外国人スタッフは、夜勤の強力な戦力になります。しかし、日本人以上に「労働時間」や「安全管理」について厳格なルールを守らなければ、意図せず法令違反を犯してしまうリスクがあります。
今回は、外国人スタッフを夜勤に投入する際の法的ルールと、現場で事故を防ぐための運用のポイントを解説します。
1. 【結論】特定技能スタッフの「夜勤」は可能です

まず法的な結論として、特定技能(宿泊)のスタッフに夜勤(深夜勤務)をさせることは全く問題ありません。
日本人スタッフと同様、労働基準法に基づいた運用を行えば、フロントの深夜番やナイトオーディット業務を任せることが可能です。
ただし、以下の3つの条件を遵守する必要があります。
- 深夜手当の支給: 22時〜翌5時の勤務に対し、25%以上の深夜割増賃金を支払うこと。
- 日本人と同等の報酬: 夜勤に従事することで、同等の業務を行う日本人スタッフよりも給与が低くなってはいけません。
- 労働時間制限の遵守: 週40時間、1日8時間の原則(変形労働時間制の場合はその範囲内)を守ること。
2. シフト作成時に注意すべき「2つの落とし穴」

外国人スタッフの夜勤を組む際、管理者が見落としがちなポイントが2つあります。
① 「留学生(アルバイト)」の28時間ルール
もし夜勤に留学生のアルバイトを入れている場合、「1日8時間」ではなく「1週間で28時間以内」という厳格なルールがあります。
夜勤は1回で長時間(10〜16時間など)になることが多いため、週に2回夜勤を入れるだけで28時間を超過し、不法就労となるリスクがあります。
※特定技能(正社員)であれば、この28時間制限はありません。
② 休息時間(勤務間インターバル)の確保
夜勤明けの翌日にすぐ日勤を入れるようなシフトは、日本語でのコミュニケーションミスや事故を誘発します。特に文化や生活環境が異なる外国人スタッフにとって、睡眠リズムの乱れは日本人以上にメンタル不調に繋がりやすいため、十分な休息時間を確保しましょう。
3. 「夜勤を1人で任せる」際の安全管理と教育

「深夜、フロントに彼1人だけで大丈夫か?」という不安を解消するために、以下の対策を推奨します。
- 緊急連絡フローの徹底: 夜間にトラブル(火災、急病、クレーム)が起きた際、日本語での電話報告がパニックにならないよう、「指差し報告シート」や、ワンタッチで責任者に繋がるホットラインを用意してください。
- 防犯対策の強化: 深夜の不審者対応など、物理的な危険からスタッフを守るための防衛マニュアルを(やさしい日本語で)共有し、必要に応じてALSOK等の警備会社との連携を確認しておきます。
- 「ナイトオーディット」のシステム化: 複雑な締め作業を任せる場合は、マニュアルを動画化するか、タブレットで工程を確認できるようにし、「言語の壁」による入力ミスを防ぎます。
4. 外国人スタッフの本音:夜勤は「歓迎」されることが多い?

意外かもしれませんが、多くの特定技能スタッフは夜勤をポジティブに捉える傾向があります。
- 理由1: 深夜手当により、手取り額が増える。
- 理由2: 昼間に比べて接客の頻度が落ち着く時間があり、落ち着いて業務(清掃や事務)ができる。
- 理由3: 日中に役所の手続きや買い物がしやすくなる。
彼らのモチベーションを活かしつつ、しっかりと労務管理を行うことが、長期定着の秘訣です。
5. まとめ:夜勤の安定が「選ばれるホテル」を作る
夜勤に優秀な外国人スタッフが定着すれば、日本人リーダーの負担が減り、施設全体の労働環境が改善されます。



